韓国の小説です。最初の4分の3は主人公の中学生「釘」と無口な友人「モアイ」が毎日ボコボコに殴られ、いじめられる話で、そんないじめられっ子二人がが広場にある謎の卓球台で卓球に目覚めて成長していく話かと思いきや、最後は人類のアンインストールをかけて、とんでもない相手と卓球の試合をするという荒唐無稽な話になります。彼らを導くのがセクラテンというフランス人の元卓球選手。
この名前を聞いた瞬間、昔卓球に夢中だった私は即座にセクレタンのパクリだな、と思いましたね。1970年代後半だったと思いますが、このセクレタンという選手、結構な強豪選手でした。ここというところで勝ちきれず、世界チャンピオンとかには到底届かなかったんですが、その風貌が禿げ上がった頭と口ひげの端正な顔立ち、僕の頭の中でフランス人というとこの人の顔が思い浮かんだものでした。(訳者あとがきによれば、やはりセクレタンから取ったとのこと)

さて、いじめられている「釘」は、変な虚無感と諦念と孤独感を感じています。多くの人々に囲まれながら、多数派に入れない劣等感を感じている前半は、どこかで読んだことがあるような、何か懐かしい感じがしました。子供の頃、僕は別にいじめられていたわけではなかったけど、こう言う茫漠とした感情に、何となく悲しくなったことがあったはずだと、読みながら何度か思いました。
そこに時空を超えた卓球人を名乗るセクラテンが登場、いじめられっ子たちを導く救世主の登場かと思いきや、ハレーすい星が地球にぶつかることを熱望する心折れてしまった人たちの集まりとか、友人「モアイ」がジョン・メーソンという小説家の書いた小説の内容を延々と語る挿話が挟まり、何となくハチャメチャになっていき、最後はもうめちゃめちゃ 笑)人類の存亡をかけた卓球の試合が行われることになります。しかもその相手たるや。。。 笑)
というわけで、このいじめられっ子の感情のリアリティと変なユーモアとわけわからんぶっ飛び具合やリズムの良い文章に、内容は全く違うけど、何となく韓国映画の「オールドボーイ」を連想しました。

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