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デーゲンコルプの新春インタビュー(2)

2018.01.15.00:11

CM: 君にとってクラシックの魅力ってどこにあるんだろう?

デ: もちろん昔はレースをTVで見ていた。のちにU23でプロと同じ丘を走ってみて、すごかった。例えばタイエンベルフやエイケンベルフの壁を自分で走ってから、1週間後にプロが同じところをどう走るかを見たんだ。忘れられないよ。
 でもクラシックへの興味は父の影響かな。一緒に毎年サンレモもフランドルとルーベもTVで見ていたからね。E3プレイスについては当時はまだ知らなかったけどね。

CM: これらのレースを知らない人たちに、クラシックの魅力を伝えるとしたらどう話せばいいでしょう?

デ: 最大のポイントは伝統かな。そこで勝てば優勝者リストに載って、100年後にも残っているんだ。これらのレースの雰囲気も一種独特だ。一言で言えば、クレージーだよ。数えきれない人の人垣を走り抜けていくんだ。
 誰も知らないような選手だったのに、一度あそこに出れば、僕のことを知っている人がたくさんいるんだ。それも僕のゼッケンを見て判断するんじゃなくて、顔を見て、「あー、デーゲンコルプが来るぞ」って。信じられないよ。説明は難しいよ、一度体験しなくちゃわからないんだと思う。

CM: あのスタートラインに立つと、みんなが声を合わせて「トム・ボーネン、トム・ボーネン。。。」って叫んでくれるよね。なんで自分はベルギーに生まれなかったんだ、と思ったりしなかった?

デ: (大笑い)そうだったらよかったね。だけどそう簡単なことばかりじゃない。ベルギー人としては、あのレースに参加するだけでも大変だろうからね。

CM: でももうベルギー人もみんな君のことを優勝できる選手とみなしているよ。

デ: うん、少しはね。チームでベルギーへコース試走に行って、夕方に自転車好きの集まるレストランに行ったら、みんな僕のことを知っていてくれた。その雰囲気、壁に飾ってあるマイヨやキャップ、それがベルギーの自転車文化なんだ。それを感じられることだけでもすごいよ。みんな僕らを眼の前で見て、ちょっとでも話をしたいと夢中なんだよ。
 ドイツだとそういう人たちはそんなに多くないよ。フランクフルトのクリスマス市場を歩いていたって、僕だとわかる人は2、3人だね。フレフ・ファン・アフェルマートが故郷のクリスマスマーケットを出歩いたら、全く前へ進めなくなるだろうね。

CM: 君がそういうレースを好んでいて、体質的にも合っているっていうのは幸運だったね。

デ: そうだね。昔のコーチに感謝しなくちゃ。僕はU23時代にはロンデだけ走って、ルーベは走らなかったんだ。チューリンガー一周レースと日程的にバッティングしていたからね。だけど当時のコーチはずっと「ジョン、君は良いクラシックレーサーになれる。ロンデに向いているのは言うまでもない、でももう一つ言っておくよ。君はきっといつかパリ〜ルーベにも勝てるようになる」って言い続けてくれた。この言葉のおかげで今の僕がある。
 そして一度勝ってみたら、もうずっと勝っていたい。12月の気温2度の中何時間も雨に濡れながら走るのが楽しいわけない。でも夢を実現するためにはそうしなくては。夢は無論もう一度石のトロフィーを手に入れることだ。

CM: 二つ目を手に入れるのは難しそうかい?

デ: パリ〜ルーベみたいなレースに2回勝つなんて難しいのは当たり前さ。ラッキーで勝てるようなレースじゃない。

CM: 君たちプロ選手がルーベの競技場に入ってくると、何千人ものファンは鳥肌が立って、競技場は大騒ぎになり、狂ったような雰囲気になる。君たちはレース中にそれはどんな風なんだろう、それを感じ取れるゆとりがあるの?

デ: 勝利を目指して走っている時はトンネルの中にいるようなものだ。競技場では何も感じない。2015年に優勝した時は、もう流れの中で、これは大チャンスだと思ってたから、100%集中していて、ビデオで見ると、僕はもう何度も後ろを確認している。後ろから突然アタックされるのが嫌だったから。きっと1000回ぐらい振り返ってるよ。それだけ集中してると、周りの雰囲気はまるで感じ取れない。

CM: 2015年の勝利では何を思い出す? 今でも最後のところは覚えてるものなの?

デ: 取りこぼしの可能性があったよね。イヴ・ランパールトとフレフ・ファン・アフェルマートがいたから、僕は後ろから行かなければならなかった。あの時追想グループの中からアタックした場所は正確に覚えてる。今でもそこを通ると特別な気持ちになるよ。
 最高のシチュエーションだったから、忘れることはできないね。ルーベでは一番強くなくてはならない。それでも2、3回トラブルがあれば、それでチャンスは消えてしまうんだ。

CM: このレースがもっとも勝つのが難しいレースかな?

デ: うーんんんん。。。。

CM: では、君向きではないレースのことを。リエージュ・バストーニュ・リエージュは君向きじゃないだろう?

デ: (大笑い)間違いない、勝つのは一番難しいね。全てのモニュメントの中で一番勝つのが難しいな。

CM: 幸運、知性、脚力のうち、こういうレースで一番必要なのは?

デ: うーん、少なくとも50%は脚力だね。絶好調でないとダメだ。でも知性は極めて大切だ。自己を信じ、諦めず、慌てず、作戦を信じること。優勝候補の一人であれば、単純ではない。
 新聞を見れば名前の一覧に星付きであげられているわけで、これだって影響力は強い。戦術だって大切だし、チームのサポートも、そして機材はパーフェクトじゃなくちゃダメだ。だからこそ難しいんだよね。

CM: 予想記事を読むときには、ヘト・ニウスブラットやレキップが君に星をいくつつけているかがきになる?

デ: 自然に目には入る。毎日ネットを見てるわけじゃないから、あえて探そうとはしなけど。

CM: さて2018年に向けて、今は100%順調かい?

デ: うん、世界戦の後、完全に体をチェックして回復時間もたっぷりとったからね。全く新しい気持ちで自転車に乗っているよ。

CM: 気管支炎のおかげで早めにシーズンオフに入れて、たっぷり充電できた?

デ: いやあ、健康だった方が良かったよ。世界戦は走りたかった。でも、そういう風にも考えなくちゃね。2年前の事故も同じように良い方向へ考えたいよ。

CM: 新しいシーズンの大きな目標は?

デ: 例年通りだよ。2018年もモニュメントを中心にする。僕に向いているし、僕が好きなレースだからね。

CM: ツールでの緑のマイヨは狙わないの?

デ: うーん、とても難しいね。何よりペテル・サガンがいる限りはね。

CM: サガンができることで、君にもできそうなことがあるんじゃない?

デ: (笑)彼の自転車コントロールだけでももうすごいよね。彼は違うタイプだよ。僕らはそれぞれ別の特質を持っている。僕だって自転車のコントロールは自信があるよ(笑)、ウィリーしながらの手放し、あれはきっと練習すればできるかもね。
 しかし冗談は別にして、僕は他の選手と自分を比べて、何か利益を得たいというより、自分自身のことに集中したいタイプなんだ。

CM: チーム・トレック・セガフレドではクラシックではキャプテンを一人に固定せず、君はヤスペル・スタウフェンとのダブルエースになるね。君たち二人は互いにどうなの?

デ: 良好な関係だよ。理解し合えているし、ヤスペルは100%信頼できるやつだ。うまくお互いに機能しあえると思っている。

CM: 2018年のクラシックの計画はできてるの?

デ: 僕らは春はクラシックチームとして活動するけど、サンレモを考える時、パリ〜ニースにするかティレノ〜アドリアティコにするかはよく考えなくちゃ。回復までの時間も、それから天候が悪くて危険度が増す可能性も考えなくちゃ。そんなことは話し合ってるよ。

CM: キャプテンになるレースは幾つか決まっているの?

デ: いや。誰が一番調子良いかはその時に見なくちゃならないからね。誰がエースになるかは数週間前まではわからない。その方が僕らにとっても良いよ。強い選手がたくさんいて、レースがフレキシブルになるからね。

CM: レースではどう走るものなの? 車から指示があるの? それともみんなで話し合って、誰が誰のアシストをするか決めるの?

デ: 無論レースではみんなで話し合うよ。レースには明確な計画を持って走るけど、実際には何が起きるかわからないからね。チームにとって最良なのは何かは、レースの中で決めていかなくちゃならない。

CM: サドルポジションを変えた?

デ: ほとんど変えてない。僕は自転車ごとに少しずつポジションが違うんだ。無論しっかり分析して、徹底的にテストしているよ。シーズン前にはサドルの圧力計測もした。とても興味深いことがわかった。今はあまり細かいことにこだわりたくないけど。

CM: ドイツでは何と言ってもツールだ。君はモニュメントに勝ってるけど、ツールのステージがまだだ。ドイツではツールのことばかりなのに、ちょっとイラッとしない?

デ: まあね。ツールでステージ2位になっても注目されないのはちょっと残念だ。僕がツールの前に、僕はツールにステージ優勝を目指していくのではなくて、アルベルト【コンタドール】のために走るんだと言ったのに、多くの人は信じてくれなかった。でも、カタパルト役の選手が決まってない状態で出場して、2位になったというのは、僕としては悪いことじゃない。無論、僕の願っているのはレースに勝つことだ。それはツールでも変わらないよ。

CM: 最後の質問。君にとってはツールでのステージ優勝と二つ目の石のトロフィーとどっちが大切かな?

デ: それは言うまでもなく石の方だよ。



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プロフィール

アンコウ

アンコウ
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あんけ・たつや。欧州ロードレースに興味を持ってすでに30年以上。主にドイツ人選手を応援。特に青田刈りにいそしむ。歳にも関わらず、あらゆる点ですごいミーハー。そのほか好きなものは、読書、音楽はバッハと友川カズキ、北方ルネサンス絵画、映画、阪神タイガース(村山、江夏以来ですが、強すぎないこと希望、弱すぎはもっと困るが)。北欧の社会民主主義に対する憧れ強し。家族構成は連れ合いと娘三人。

* 時々コメントが迷惑コメントとしてゴミ箱に入れられることがあるようです。承認待ちが表示されない場合は、ご面倒でも書き直しをお願いします。2017年8月3日記す(22年3月2日更新)

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