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南京事件個人的論争顛末記 笑)

2017.09.23.13:00

このブログでも南京大虐殺のことについてはすでに何度か書いた。特に堀田善衛の「時間」辺見庸の「1☆9☆3☆7」清水潔「南京事件を調査せよ」という本について書いているので、そちらも見てもらえると嬉しい。

僕の考えはいたってシンプルだ。

これだけ多くの当事者の証言があり、奇跡的に残された公的文書「第66連隊第1大隊の戦闘詳報」があり、軍の命令によって虐殺が行われたことは明らかである。また、旧陸軍軍人の集まりである偕行社が「南京戦史」というものもまとめていて、そこでは具体的に「中国軍捕虜・便衣兵などへの撃滅、処断による死者約一万六千任。一般市民の死者約一万五千七百六十人」と書かれているそうである。これによれば3万人余り。中国は30万と言っているという話はひとまず置く。ただ、もし仮に3万だとしても、大虐殺である(参考までに、ナチスがウクライナで行ったユダヤ人の大量虐殺、バビ・ヤール事件、ショスタコーヴィッチが交響曲を作曲して追悼の意味でその題名にバビ・ヤールとつけた事件で殺害された人数がやはり3万強である)。何れにしても、数字の話にしてしまうつもりはない。それにどんなに研究が進んでも、タイムマシンでもできない限り、本当の数字は未来永劫絶対にわからないだろう。それは広島や長崎の死者の数も同じことだろう。

上の清水潔の本に出てくる話だが、福島に住む人で、福島県から南京へ出征した元兵士たちに聞き取り調査をし、さらに当時の従軍日記を集めた人がいる。ほぼ200名(福島県だけ)から話を聞き、さらに証言者ご本人のビデオ撮影もしたという。その話はいうまでもなく恐ろしい話である。しかし、僕は彼らを批判・糾弾しようとは全く思わない。彼らがどんな気持ちで証言したのか、それを想像するとき、仮に彼らが南京でどんなことをしようとも、きっと彼らの魂は成仏されているに違いないと信じたい。自分は女子供も含めてたくさんの無抵抗の人を殺したという証言を、嘘で言えるはずはない。心の底から、取り返しのつかないことをした、と後悔しているからこそ、証言できたのだ。

ところが先日、FBのあるグループでこうした証言者たちは嘘つきである、スパイであると書いて反論してきた人がいた。南京事件は「冤罪」なのだ、という。挙句の果てにお前は自分の目でその証言や従軍日誌などの証拠と称するものを見たのか、見てもいないのに、よく信用できるな、と書いてきた。証言があるなら裏をとるのが当たり前なのに、それすらしないで、お前は我々の父祖を殺人鬼のレイプ魔だと言って愚弄している。絶対に許さない! と。

無論、誰でもすぐに反論できるだろう。自分の目で見なければ信用できないというのなら、北朝鮮のミサイルなんかも信用できないだろう。さらに僕は「殺人鬼」だの「レイプ魔」だのという言葉は一切使っていない。当たり前だ。ほんのわずかの想像力さえあれば、もし自分がその場に、1937年12月の南京にいたらどうしただろう、と考えれば、彼ら旧日本軍の兵士たちを「殺人鬼」だの「レイプ魔」だのと言えるはずがないではないか!!

僕は、この人が僕のことを父祖を愚弄すると称して「許さない」と言ったその倍以上の強い気持ちを込めて、こうした証言者、止むに止まれず自らの戦場での罪を告白した証言者たちを「嘘つき」とか「スパイ」と愚弄したこの人に対して怒りを感じる。

結論はもう出ている。僕のブログではもう何度も書いてきたことだ。この世の中には99.9%の普通の人と0.1%の悪人がいるわけではないのだ。人間は、普通の善良な人が、状況によってはとんでもないことをする、そういう生き物なのである。僕だってそうだし、誰だってそうだ。水戸黄門のように悪代官がいて、善良な町民がいるというわかりやすい世界だったらよかったけど、それは絶対に嘘である。状況によって普通の人が、とんでもないことをする。そして、状況によって、そうしたとんでもないことに慣れてしまう。それが人間なのだ。だからこそ、そんな普通の人がとんでもないことをしないで済むような社会を作らなくてはならないはずなのである。

こういう言い方をするといわゆる性悪説ですね、と言われることがよくある。でも前提はそうでも、重要なのは後ろの部分だ。「だからしょうがない」ではなく、「だからこそ社会をよりよくしていこう」という話なのだ。

以前書いたことがあるが、「教養」という古めかしい言葉がある。今、経済一辺倒の時代にこんな言葉になんの意味があるのか、という人もいるかもしれないが、教養というのは先人が積み上げたことに対するリスペクトの気持ちなんだと思う。それがないから、南京事件にしても、あるいは関東大震災時の朝鮮人虐殺にしても、多くの人々が第一次資料をもとに営々と積み上げてきた学問的な遺産を知ろうともせず、すべて吹っ飛ばして陰謀論の一言で片付けてしまうのである。議論するための前提がないから、簡単にトンデモ説に引っかかる。そして「お前、見たのかよ」と、子供の喧嘩のようなことを恥ずかしげもなく言い出すのである。

いずれにせよ、このブログにコメントを書いてきたネット右翼の人みんなに言えることだが、相手が言ってもいないことを言ったことにして、自分で勝手に悪意を掻き立てているのである。いわゆるストローマンとか藁人形論法というやつだ。先の人なら僕が旧日本兵たちを殺人鬼やレイプ魔だと考えていると妄想して、僕に対して絶対に許さないと怒っているのである。あるいは以前ここに書いてきたネット右翼でいえば、僕を年金の心配もなく高所から偉そうなことを言う奴とか、レースに出たことものないくせに偉そうに自転車レースを語る奴とか。民進党の支持者と勝手に決め付けて、民進党の悪口を延々と書いてきた人もいた。少し前までは、議論して納得させることができると安易に考えていたけど、彼らは何か「蟲」に取り憑かれているとしか思えない。つまり、彼らに必要なのは議論よりお祓いだろう。ということで、僕はネット右翼と議論することを完全に放棄したわけです。

……追記(2017,9/24, 12:00)
予想はしていたけど、やっぱりネット右翼がこの記事にいちゃもんつけてきましたが、相手にする価値もないので速攻で消去しました。しかし、最低限の基本資料すら読んだことがない(間違いないと思います)くせに、よく文句つけるよなぁ、と呆れている次第です。



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プロフィール

アンコウ

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あんけ・たつや。欧州ロードレースに興味を持ってすでに30年以上。主にドイツ人選手を応援。特に青田刈りにいそしむ。歳にも関わらず、あらゆる点ですごいミーハー。そのほか好きなものは、読書、音楽はバッハと友川カズキ、北方ルネサンス絵画、映画、阪神タイガース(村山、江夏以来ですが、強すぎないこと希望、弱すぎはもっと困るが)。北欧の社会民主主義に対する憧れ強し。家族構成は連れ合いと娘三人。

* 時々コメントが迷惑コメントとしてゴミ箱に入れられることがあるようです。承認待ちが表示されない場合は、ご面倒でも書き直しをお願いします。2017年8月3日記す(22年3月2日更新)

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