やれやれ、恒例のぎっくり腰をまたやってしまいました。土曜日の夜、ツタヤで借りてきたデンマーク映画「誰がため」を見終わって、ソファから立ち上がろうとしたらピキッ! あっ、と思ったらもう遅い、いや〜な違和感が骨盤のあたりに、階段を上って寝室へ行こうとするも、途中からなんとも言えない痛みが。。。なんでしょうね。腰の蝶番が外れて、骨盤が横滑りしちゃうような力の入らない感じ。そして痛み。。。最後の二段は四つん這いになって登ってベッドに転がるように横になりました。
なにしろベッドの上に横になってるしかないし、できれば横向きで寝返りだって打ちたくない。というわけでできることは本を読むしかない。前回は一昨年の11月で、武田泰淳なんかの小説がずいぶん読めたんですが、今回は去年の暮れから寝る前に少しずつ読んでいた電話帳みたいな上下二段組650ページの「昭和の名作名探偵」なんてのが読み終わっちゃいました 苦笑)
で、恨みのデンマーク映画。デンマークってナチスドイツが攻めてきた時1日で降伏しちゃうんですね。この映画はこの時代の二人のレジスタンスの暗殺者を描いた映画です。彼らはドイツ人を直接は狙わないんですね。下手にドイツ人を殺すと報復がひどいから。まあ、デンマークって文化的にも人種的にもドイツ人と近いから被占領国と言っても、スラブ系のポーランドとかベラルーシやウクライナみたいなひどいことはされなかったみたいなんですけど、それでもドイツ人一人殺されれば、無実の一般デンマーク人がまとめて何人も殺されちゃいかねない。なので国内のナチシンパのデンマーク人を暗殺する。だけど、どうもその指示を出している奴が、イギリスからの指示だと言いながら、私腹を肥やし、それを知る者の口封じに彼らを使っているんじゃないかという疑いが出てくる。自分たちが暗殺したデンマーク人たちは本当にナチスのシンパだったのか、敵はどこに? とまあ悩む話です。
暗殺者というと、私などはアンジェイ・ワイダの「灰とダイヤモンド」のマチェク、ポーランドのジェームス・ディーンなんて言われたズビグニェフ・チブルスキーを思い出すんですけどね。もっともこちらは終戦直後で、暗殺の対象はソ連の要人です。これも説明をサラっとしておくと、ポーランドの反ナチレジスタンスには、ソ連の肝いりの共産主義者たちによるものと、ポーランド民族主義者たちによるものがあったんです。ナチという共通の敵がいた間は問題なかったけど、敵がなくなり、今度はこの二つの勢力が争うことになる。マチェクは民族主義者たちのグループの暗殺者というわけです。
この映画はもう古典で、マチェクが暗殺したソ連の要人がマチェクに倒れ掛かり、それを抱えたマチェクの背後で花火が打ち上がるシーンとか、廃墟の教会の中の逆さづりのキリスト像とか、もちろん最後のゴミ捨て場に干してあるシーツのシーンとか、映画の教科書に載りそうなシーンがたくさんあるんですが、何より、あの時代にレジスタンス崩れの反ソ連の暗殺者の悲劇なんていう映画がよく作れたものだという映画です。
で、デンマーク映画に戻ると、二人の暗殺者が片方は有名なマス・ミケルセンで、この人の映画はこのところ「ザ・ドア」というドイツ製のSF映画と「バトル・オブ・ライジング」という歴史物を続けてみていて、結構お気に入りの俳優なんですが、もう一人の方、トゥーレ・リンハートという赤毛の役者がやった暗殺者がものすごく良かったですね。落ち着き払っていて、立ち居振る舞いが、なんかフランスのフィルムノワールの殺し屋、まあ有名なところではアラン・ドロンとかでしょうかね、そんな雰囲気がありました。
さらには、ドイツのゲシュタポの将校をやったクリスチャン・ベルケルという俳優も、非常に特徴的な強面のドイツ人なんですが、「ヒトラー最後の12日間」では比較的まともな軍医の役、「エス」では主人公とともに大活躍する役で、今回もなかなか深い役どころです。比較的得な役柄の多い人のような気がします。顔はかなり怖いけどね 笑)
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