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taz のネルツインタビュー

2017.02.09.23:13

まあ、普通の人からすれば、引退した選手を追いかけ回している拙ブログはちょっと異常か? これで最後宣言をしたにもかかわらず、まだやります 苦笑)

というわけで、ドイツの全国日刊紙ターゲスツァイトゥング (taz) の2月4日付のネット版に長いネルツのインタビューが乗っていました。はぁ〜〜っ。

しかし、返す返すもこれからってところで残念です。ちと忙しいので、大急ぎで全訳します。文句が来たら削除しますので 笑)

……
自転車プロ選手ネルツが引退を語る。
「僕は穴には落ちない」

ドミニク・ネルツは山岳で非常に強みを発揮し、ツール・ド・フランスでもセンセーションを巻き起こせたかもしれなかった。27歳で彼は引退する。なぜ?

taz: ネルツさん、27歳といえば、ステージレーサーとしてはこれからがキャリアの始まりになるはずでした。でもあなたはやめてしまう。なぜですか?

ネルツ: 僕はこの2年、非常に不運で落車と怪我ばかりだった。医者は僕に、プロのキャリアをやめたほうがいいとアドバイスしてくれていた。加えて、肉体的にも、自転車競技での負荷に必要な回復力がなくなっていたということもある。

taz: 落車で頭を打って、頭痛、めまい、方向感覚の乱れを感じていたそうですが、ご自分ではスポーツで障害を負ったと思いますか?

ネルツ: いや。日常では困難を感じていない。でもスポーツをすると、トレーニングで減量するためには何が必要か、何をすべきかがわかるし、競技レベルになると体が単純に言うことを効かなくなるのがわかるんだ。

taz: 今から考えるとターニングポイントは2015年のドゥフィネでの落車でしょうか?あなたは照明のないトンネルで壁に激突してしまいました。

ネルツ: そう、あれがポイントだった。それから3週間後のツールでの落車も。そこから結局回復することができなかった。

taz: 自転車競技はどんどん危険になっているんでしょうか?

ネルツ: 確かに落車が増えていることはある。しかしそれほど爆発的というわけではないよ。落車はいつだってあった。でもここ何年かでメディアがそれに注意を向けるようになった。他方で、プロ自転車競技に対する要求もどんどん増えている。完璧な選手であるためにはシーズンを通じて高いレベルで走り続けなければならない。スター選手だけがレースの選り好みをして、調子をそれに合わせられるんだ。

taz: それに対して、普通の選手やアシストはいつでも強くなければならないわけですね。しかも自分に向いてないレースでも。

ネルツ: そういうことだね。アシストはいつでも同じ課題を課せられる。一方でエースは変わるから、誰かのためにアシストしたら、また別の誰かのためにアシストしなければならない。そうやっていつでも自分のパフォーマンスを全て出さなくちゃならない。

taz: あなたがアシストとして走った時、誰が一番好みのエースでしたか?

ネルツ: ヴィンチェンツォ・ニバリが絶対だね。単純に相性が合った。彼が必要のなものがわかったし、彼は決してあきらめないだろうと信用できた。これはとても印象的だった。だから僕がエースになった時にもそうしようと思った。残念ながら、そうならなかったけど。

taz: グランツールでは、あなたはトップテンに入ることを期待されたけど、【2015年ツールの】リタイアはがっかりしたでしょうね?

ネルツ: 嬉しくはなかったよ、もちろん。全てを立て直すのに随分時間がかかった。しかし、過ぎてしまったことを思い煩うのはやめようと思ったんだ。

taz: レースシーズンが始まっています。あなたはレースを見ますか?

ネルツ: いや。僕は自転車競技からきっぱりと手を切りたいんだ。レースが行われているのに、僕はもうそこにいないのは、辛いことだ。レースの結果を見ることもしていない。

taz: そうすると、あなたのかつてのチームがどうなっているかも見てないわけですね。もしあなたがボーラにいれば、世界チャンピオンのサガンやツールの山岳賞のラファウ・マイカのような、新しく加わった選手たちに対して、まだあなたのチーム内でのポジションがあったと思いますか?

ネルツ: ボーラにいれば新しい役目を見つけられたと思う。サガンやマイカが来れば、僕は一歩下がって再びアシストになったのは間違いない。そういうチームで働けるだけのレベルにはいたと思う。

taz: 新しいドイツのクライマーのエマヌエル・ブフマンは、本当ならあなたのそばで力をつけるべきだったし、今、ボーラで新しい状況にいるわけだけど、どうでしょうか? この先彼に期待してもいいものでしょうか?

ネルツ: エマヌエルには大いに期待してる。彼はとても良い選手だ。クレバーだし、山岳も非常に良い。ここまでは彼は大切に守られてきたけど、彼が走りたいように走ることができるはずだ。調子が良ければどんどん飛ばせばいいし、調子が良くなければそうしなければいい。マイカが入ったことで、彼の要求されるものは変わるだろう。3週間のステージレースのストレスに耐えるために、もっと力をつけなければならないけど、それも期待できる。

taz: あなたはここ何年か、ドイツで一番のクライマーでしたが、今はそれがブフマンになりました。でも彼ぐらいしかクライマーはいません。ドイツ選手がスプリントとTTでは強いけど、山岳では強くなれないのは何が原因でしょう?

ネルツ: ドイツ人ってタイプから言って頑健なんだ。だからプリンターがたくさん出てくる。例えばイタリアみたいに身長が160とか170ぐらいだったら、スプリンターじゃなくてクライマーになるよ。

taz: ドイツの若手のトレーニングとしてスプリンターやTTに向いているやり方というのは関係ないですか?

ネルツ: いや。それはないと思う。まず第一にそれ【体格の差】が基本なのは間違いない。ジョン・デーゲンコルプがクリス・フルームにはなれない。しかし、それはまた必要でもない。だってデーゲンコルプは彼ができることで成果を上げているんだから。なぜ彼が山岳が得意にならなくちゃならないんだい?

taz: 山岳に強い選手たちはここのところ、治療薬の特例を受けているという非難にさらされています。フルームもそうだし、ブラッドリー・ウィギンズも。これについてはどう思いますか?

ネルツ: もうこういうテーマに向き合わなくて良くなって嬉しいよ。このテーマにはもううんざりしているんだ。何かあると、すぐに大騒ぎだもの。しかしそれは悲しいことだ。何よりこの問題で本当に苦しんでいる他の選手たちにとってね。ウィギンズみたいな選手にとてはかなりどうでもいいことなのかもしれない。彼の名声に多少のケチがついたって、きっと大したことはないと思うよ。問題は本当にこの問題で苦しんでいる選手たちだよ【本当に薬が必要な選手たちのことか?】。もし誰かが何かを飲み込んで、それで速くなるとして、それに対して僕にできることなんて何かあるかい?

taz: ここ何年か、以前と変わって、ドーピングが少なくなったからレースも変わったと思いますか?

ネルツ: うん、もちろんそう思う。もしまだ10年前みたいだったら、僕みたいな選手はレースで戦えなかっただろう。このスポーツでは完全に世代交代がうまくいったね。

taz: これからプロになろうかという若い選手たちにアドバイスがありますか?

ネルツ: プロ選手というのは楽しい職業だという印象をきっぱり捨てること。何かを達成するためには、非常にたくさんの不自由、非常にたくさんの苦労と汗が必要だ。プロになる選手はみんなその前にレースで優勝してたんだから、おのずとそうなる。ほんのわずかな選手を除いて、― 例えばペテル・サガンなんかがその例外だ ― みんなプロになったら、最初から始め直すことになる。毎年毎年徐々に力をつけていかなくてはならない。だからアドバイスとしては、身体に気をつけて、余計なアドバイスを聞きすぎないように。自分の本分をわきまえること。それまでだって、そうやってうまくできてきたんだからね。

taz: なんだかむしろ恐ろしい職場環境のようですね。素晴らしい瞬間だってあったのでは?

ネルツ: もちろん、それはたくさんあったよ。世界中で走ることができたし、たいていの場合は、勝っても負けても声援を受けた。スタート地点では僕らは英雄だ。何よりイタリアとフランスがそうだったね。そこでプロのマイヨを切れば、極端なことを言えば、何だってできたんだ。それに素晴らしい自転車にも乗れる。最高の機材が僕のために用意され、それをボコボコにしても、すぐに新しいのが用意されるんだ。アマチュアだったら給与から差っ引かれるのにね。

taz: チヤホヤもてはやされたプロ選手から普通の市民への道は大変ですか?

ネルツ: いや、ちっとも。注目を集めることが生きていくための活力として必要な人もいるけど、僕はそういうタイプじゃないから。もう僕にとってプロ生活は終わったんだ。これから僕がすることで評価されたい。

taz: 今は何をしているんですか?

ネルツ: 自分が何をしたいのか、何に向いているのかを分析中さ。幾つかの扉が開かれている。自転車競技を終えて、穴に落ちるわけにはいかない。自転車競技と何かしら関わることに、いつか戻ってくる可能性はあるけど、それに関しては何もまだ決めていないよ。
……

というわけで、ネルツの紹介も出てますが、20歳でドイツのジュニアチャンピオンと書いてあるんだけど、これ間違いだよ。U23チャンピオン。20歳じゃジュニアじゃないもんね 笑) その他にもブエルタで総合14位になったこと、ピアノを弾く音楽愛好家であることなんかが出ていますが、これから何をするんでしょうね。どこかで読んだ記事では大学入学資格を持っているはずなので、27歳なら、ドイツでは、大学生としては別におかしくないでしょうけど。。。


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プロフィール

アンコウ

アンコウ
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あんけ・たつや。欧州ロードレースに興味を持ってすでに30年以上。主にドイツ人選手を応援。特に青田刈りにいそしむ。歳にも関わらず、あらゆる点ですごいミーハー。そのほか好きなものは、読書、音楽はバッハと友川カズキ、北方ルネサンス絵画、映画、阪神タイガース(村山、江夏以来ですが、強すぎないこと希望、弱すぎはもっと困るが)。北欧の社会民主主義に対する憧れ強し。家族構成は連れ合いと娘三人。

* 時々コメントが迷惑コメントとしてゴミ箱に入れられることがあるようです。承認待ちが表示されない場合は、ご面倒でも書き直しをお願いします。2017年8月3日記す(22年3月2日更新)

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