例の相模原の事件で、気になっていた本。昔から知ってはいたが、過激すぎるので、それなりの覚悟を持った上で読まなければならないと言われていた。読んだけど、うまくまとめられそうにない。覚書程度にメモしておきたい。
書かれたのが今からすでに40年近く前の本で、取り上げられる個々の事件(現代の目で見れば、あまりに酷すぎて胸が悪くなる)は現在ではすでにほぼ過去の話になっているものもあると思う。例えば車椅子でバスに乗るというのは、私が住む地域では、全てではないが、ノンステップバスが走っていて、車椅子での乗車は可能になっているし、優生保護法はすでに母体保護法になっている。何より親による障害児殺しの事件があっても、マスコミがこの本にあるような差別的な書き方はしなくなっていると思う。それは著者の横田ら「青い芝」の当事者運動の成果なのだと思う。
しかし、ここに語られている、障害当事者から健常者に対する批判は、その大本のところで現在でも完全に通用するものだと思う。障害者が街に出るためのインフラは随分整備されたけれど(無論それでもまだまだ足りないのは言うまでもない)、しかし、人々の障害者に対する思いは、この本が書かれた当時とあまり変わっていない。そして、善意と思い込んでいる健常者の障害者に対する様々な思い上がりが、結局のところ、回り回って、今回の相模原の事件のようなところまで突出しかねないのだと思える。
何より、この資本主義社会の中で生産活動ができる人間が偉いのだ、という「常識」の中で、そうでない人間はいない方がいい、と考えるところまでの距離はわずかである。
この本で指摘されている重症障害当事者の発言はとても重く、簡単には乗り越えることができそうもない。すべてに納得したわけではないのだけど、たくさんのことを考えさせられるとともに、障害者の親として反省させられ、考えさせられるところも多かった。
…追記(2016/9/17、11:30……
今朝の東京新聞のこちら特報部にも「青い芝の会」のことが書かれていました。

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