昨日の続きです。テロに対する断固たる態度、とほぼすべての国の指導者たちは口をそろえて言います。フランスは報復としてシリアの爆撃をしているようです。でも、これではいつまでたっても不安な世界は終わらないでしょう。どれほどテロ対策を練ったところで、あんな自爆テロを完全に防ぐことなどできっこない。100歩譲ってそれが可能だとしたら、そこは独裁監視社会と同等のさぞかし住みにくい所になるでしょう。さらにもしISステートを全滅させたとしても、その後にまた別の反米反西欧反ロシアの組織ができるでしょう。
今回のような無差別の大量殺人を擁護する人はいないだろうけど、イランでは2003年以来民間人の死者が何十万の単位(さまざまな団体が推計しているようだけど、アメリカ軍は数えていないから分からないと言っているそうだ)だと考えられているそうです。彼らの恨みが強いのは当たり前でしょう。
今の世界を支配している弱肉強食のシステムはきっと世界中の人間すべてが幸福に生きられるように、とは全く考えられていません。多少のテロによって被害が生じようが、「国益」(誰にとっての益?)を守るためにこのシステムを堅持しようとする先進国の人々が、意識を変えない限り、これはもう永遠に続くんでしょう。
資本主義に変わるシステムはそう簡単には発明されないでしょうけど、金を稼ぐための自由が行きすぎて、不平等が拡大すれば、社会の安定性は当然崩れていく。自由と平等のバランスが現在の社会は悪すぎる。日本の社会もそうだけど、世界を見たときに、それは本当にひどいものだと思えます。
いずれにしても安保法案によって日本はアメリカのために自衛隊を派遣することも厭わない、と宣言したわけです。そうすぐに自衛隊がISステートとの戦争に派遣されるとは思わないけど、この法案が生き続ければ、いつかは派遣されるでしょう。そうなれば日本もテロの標的になるかもしれません。
昨日も書いたように、ISステートは狂犬ではないから、誰彼構わず噛みつくわけではない。彼らがアメリカや西欧やロシアをテロの標的にしているのには理由があるわけです。そうしたいきさつとは余り関係なく来た日本がわざわざそこにしゃしゃり出て噛みつかれる必要はないと僕などは思うのですが。むしろ、今回の法案が通る以前、アラブに対しては完全に中立な立場だった日本がやれたことはたくさんあったのではないか、と、まあ、素人考えですがね。
いずれにしても、冷戦時代よりもはるかに不安な世界になりました。ソ連をはじめ東欧諸国が自由化したとき、これで冷戦が終わり、21世紀はすばらしい未来が舞っているかのように思ったものでしたが、まるで逆になりました。

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