評判がいいので読んでみましたが、なるほどと納得。著者みずからがあとがきで書いているように「読み手を置いてけぼりにする」ことがままあるにしても、なんともいえない爽快感、疾走感を感じさせる見事な語り口です。曽野綾子の上から目線の日本でしか通じないような内向きの偉そうな物言いに対して、これをパスポートの比喩で「いざ税関に持っていけば『こんなものは使えません』と差し戻される偽造パスポート」(p.72)と言ってのけるのなんか、なんとも痛快。
現代の社会を「人間そのものに、短絡的に○か×かを付ける。ならばと、自分が生き残るために、誰かの淘汰を歓迎する」(p.252)なんて、手前味噌だけど、拙ブログで繰り返してきた無教養な単純化と犠牲を強いる社会にたいする批判と一致すると思います。
こういう考え方、物の見方がもっと広まると、この国もすべての人がもう少し生きやすい国になるだろうと思うのですけどね。

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