もっと早く読むべきだったとは思うけど、でも今からでも遅くない。いや、むしろこの先に向けて今読むべきかもしれない。
この人の本は以前にも紹介したことがある。その時もなるほど、と膝を打つことが何度もあったが、今回もすごく分かりやすいし、ああ、こうやって考えるものなのね、といくつも蒙を啓かれた思い。
たとえば、憲法13条の生命自由幸福追求権により、日本が攻められたときに防衛する「個別的自衛権」(自衛のための実力行使する権利=自衛隊の合憲性)は防衛行政として憲法9条の例外と認められるが、直接的に他国を守る「集団的自衛権」は、憲法73条にある内閣の行政権に「軍事」の規定がない以上憲法違反である、という説明。憲法学者の間では、ひょっとしたら常識なのかもしれないけど、この本の表現の分かりやすさと、スリリングな書き方に、なるほどと感心した。なんと論理的で美しいぐらいに明瞭な説明であることか。
数日前の朝日新聞の投書欄に、憲法を素直に読めば自衛隊は違憲だという意見が述べられていた。だが、この本を読むと、憲法は「素直に」字面だけを読んではいけないことがよく分かる。まあ、こんなの当たり前のことだが。
自衛隊をどう考えるか、というのは結構ハードな問題だ。ただ、その朝日の投稿のように字面だけを読んで単純化し、自衛隊は違憲だというレッテルを貼って、そこからおかしいから憲法を変えるべきだという結論を導き出してしまう改正論者も多い。一方で、護憲派のの中でも最も過激な人たちが言うように自衛隊は違憲だから解体すべきだというのも現実味が薄い。だけど、最初のように13条と関連づけると、なんのことはない、万が一どこかの国が攻めてきたときには(これはどう考えても僕にはあり得ない話に見えるけどね)国を護る(個別的自衛権の行使)というスタンスの自衛隊でいいのだと納得できる。
憲法の話ってこんなに面白いんだ!

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