NHKのハートネットTVで障害者と戦争というテーマで二回に分けてナチスによる障害者安楽死計画T4作戦と、ナチ時代の視覚障害者オットー・ヴァイトのことをやっていました。
日本障害者協議会理事の藤井克徳さんがドイツでそのあとを訪ねるという企画です。
藤井さんは以前、地元で障害者権利条約と秘密保護法の話を聞いて、それについて拙ブログでも書いたことがありました。また、
ドイツのT4作戦についても、拙ブログで何度か紹介したことがあります。
ただ番組では触れられていなかったけど、ヒトラーがこの計画をやめた理由の一つにフォン・ガーレン司教が説教でこの計画を非難したということもあったはずです。ただこの障害者安楽死計画が中止されたあと、ユダヤ人の組織的ないわゆるホロコーストが始まったといい、つまり障害者安楽死計画はホロコーストの予行演習のような役割を果たしたわけです。まず本を焼き、続いて障害者、さらにユダヤ人を初めとした差別された者たち。。。
番組では父親がパーキンソン病で40歳になる前に安楽死させられた人がでてきました。安楽死といっても実体は虐殺です。しかしパーキンソン病はヒトラーも晩年にはこの病気にかかっていたと言われています。なんというか、ものすごい運命の皮肉を感じます。
二回目のオットー・ヴァイトは盲人にして、ナチスの時代に盲人の作業所を立ち上げ、ユダヤ系の障害者たちを多く雇ったという、いわばオスカー・シンドラーの障害者版みたいな人です。ヴィキペディアを見ると、まんま、「ベルリンのシンドラー」と言われるとあります。ナチスに取り入って、自分の作業所で作るものが戦争に必要なものだとアピールすることでユダヤ人を助けようとした点もシンドラーとよく似ています。
結局、ナチスの時代には人間を国家に役に立つ人間かどうかで価値づけていたわけです。しかし、以前にも書いたように、価値があるかないかを決めるのは誰なのか? 価値がない人間なんていないんだ、口で言うのか簡単だけど、今の世界を覆っている空気は、人間に対して、呆れるぐらい価値付けをしているのではないでしょうか?
番組の最後に車椅子の元議員が言うように、レッテルを貼って分類するから差別が生まれる、というのは含蓄があります。「あなたは障害者、あなたはユダヤ人、あなたは同性愛者、あなたは外国人、あなたは女性だと、何事も分類するから、差別が生まれ、迫害につながる」
誰の人生であれ、その人生はただ一つのかけがえのないものなのだ、誰もが価値のある人間で、「別に、修理をする必要はない」。これが人権というものなんですね。

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