今日は東京駅のステーションギャラリーへ行ってきました。ここは15年ぐらい昔でしょうか、ハインリヒ・フォーゲラーという19世紀末の北ドイツの画家の展覧会を見に行ったことがありました。ここへ来たのは、おそらくそれ以来ですね。今回、知人に勧められて、7月20日までというので出かけてみました。
凄かったです。人間が赤黒いんですよ。人物が塊(かたまり)として黒々と描かれるのはともかく、描かれている老人や老婆のおでこと鼻だけが見分けがつくだけのような絵がものすごい迫力でした。スペインにいたと言うこともあるのか、ゴヤのサチュルヌスなどのいわゆる「黒い絵」群のような黒々した感じで、老婆や傷痍軍人だけでなく、酔っぱらって踊っている老人でさえも、なんとも痛々しい絵ばかり。特に晩年の一連の自画像はなんとも痛ましい。みんな口を半開きにして惚けたような悲しい顔をしています。確かに主題的にはわかりやすすぎてつまらないとも言えるんですけど。だけど、他の絵と違ってバックを真っ赤にした「出を待つ」と題された道化師の絵などは、死の世界という舞台への出を待つ道化師の姿をした自画像なんだろうなぁ。
人物像が暗いもの以外でも、なんか肌の色が死人の色とでもいうのか、どうしようもなく暗く重たく、鴨居玲はすでに30年も前に亡くなっているにもかかわらず、現代の雰囲気にヘンにピッタリとはまっている気がしました。

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