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古市憲寿「だから日本はズレている」覚書き

2014.11.27.11:02

すっかり真っ白になりました、今朝の富士山。雲がたなびいてとても良い絵柄でした。
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だから日本はズレている (新潮新書 566)だから日本はズレている (新潮新書 566)
(2014/04/17)
古市 憲寿

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さて、2,3カ月前にかなり話題になった本だ。基本的には今の社会のあり方がおかしいと思っているけど、既存のリベラルのやり方はしたくない、というのが著者のスタンスなんだろう。現代社会の問題点解決のために、保守やリベラルの「おじさん」たちが考える考えかたに、「若者」の立場から、そうじゃないんだよ、と言うわけである。

まず、「おじさん」たちは様々な問題を一気に解決してくれるカリスマ的な強いリーダーを求め、現憲法を自民党のポエムのような憲法に変えれば、現在の停滞した社会が変わると勘違いしている。東京オリンピックやネットのソーシャルメディアが社会を変える魔法の道具だと思い込んでいる。そして若者に社会を変えることを期待し、学歴など古いといいながら、自分はそうした古い制度にどっぷり安住している。だから当然のように、この本は途中から世代間のギャップ、とくに「おじさん」の「若者」に対する過剰な期待に対する「若者」からの異議申し立てが中心になる。

そして、そうした「おじさん」たちの過剰な期待は実は大したものではないのだ、と主張し、「心のノート」のような道徳教育を肯定する保守の「おじさん」も、監視社会に警鐘を鳴らす良識派の「おじさん」もぶった切るのはよいのだけど。。。

途中までは結構面白く読めた。だけど、最後の方で、そうした「おじさん」の考え方に対抗する人たちとして、「まず『今、ここ』で暮らす自分や仲間を大切にすること」「自分たちが生きやすい環境を作ろうとすること」という「優しい革命」をめざす「静かな変革者」の若者たちを描き出す。

今の社会がおかしいと、資本主義や消費社会に対する違和感を感じている若者たちはたくさんいるが、彼らはそうした社会と「闘うのではなく、むしろ降りている」 のだ、と言うのである。

読みながら、最近なぜか名前をあまり聞かない湯浅誠のことを思い出した。以前紹介したように、湯浅も「ヒーローを待っていても、世界は変わらない。誰かを悪者に仕立て上げるだけでは、世界は良くならない」と言っていた

しかし湯浅の本を読んだときとは違って、この古市の本には違和感を感じた。若者たちが「闘わずに降りる」のを一番喜んでいるのは権力者たちではないのか? たしかに日々の生活に充足を見いだし、自分と自分の回りに満足できるのならいい、という考えは一番楽だろう。そういう若者が増えて自然に社会が変わっていくならいいじゃないか、って説得される人もいるだろう。だけど、そうして選挙には行かない。社会の大きな方向性には無関心。大げさかもしれないけど、気が付いたときには権力者の好き勝手なように国が作りかえられていて、にっちもさっちもいかなくなっているかもしれない。以前書いた「ジェネレーション・ウォー」の主人公たちみたいにはならないって安心していられる?

結局のところ、基本的に古市の考えには、何をしても無駄だというニヒリズムと、権力というものを甘く見すぎている楽観主義があるような気がする。それはとくに最後の章「このままでは『2040年の日本』はこうなる」にも見られる。最後に「迷走する『おじさん』と、それに割を食う『若者』の物語」という言葉が出てくるが、それはどの時代にもあるものだし、戦時中は「おじさん」たちが勝手に始めた戦争で「若者」が死ななければならなかったわけだ。

政治など変えたって、社会は良くならない。そうかもしれない。だけど、少なくとも、社会に生きる限り、今より悪くさせないように政治に関心を持たざるを得ない。それは「闘う」のでなくてもいいけど、「降りる」という選択は最悪ではないだろうか?(それとも降りるという古市の表現を、僕は勘違いしているのだろうか?)



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プロフィール

アンコウ

アンコウ
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あんけ・たつや。欧州ロードレースに興味を持ってすでに30年以上。主にドイツ人選手を応援。特に青田刈りにいそしむ。歳にも関わらず、あらゆる点ですごいミーハー。そのほか好きなものは、読書、音楽はバッハと友川カズキ、北方ルネサンス絵画、映画、阪神タイガース(村山、江夏以来ですが、強すぎないこと希望、弱すぎはもっと困るが)。北欧の社会民主主義に対する憧れ強し。家族構成は連れ合いと娘三人。

* 時々コメントが迷惑コメントとしてゴミ箱に入れられることがあるようです。承認待ちが表示されない場合は、ご面倒でも書き直しをお願いします。2017年8月3日記す(22年3月2日更新)

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