今朝の東京新聞に、小川勝というスポーツライターのコラムで、スポーツ界出身議員の話が載っていました。確かに日本には元スポーツ選手の議員がたくさんいます。だけど、ホントに議員としての仕事をしているのかどうかは見えない。そもそも、こうした議員たちが、現役時代に政治的なことに関心があったとは、にわかに信じられない。そんななかで、アントニオ猪木が北朝鮮とパイプをつなごうとしていること、ぼくは肯定的に見ています。でも、それぐらいでしょう。
国会が荒れたときに議長を護る盾役になる元プロレスラーとか、女性がバカにされているのに、その横でヘラヘラ笑っていた元女子スケーターとか、無能をさらけ出した元プロ野球監督とか、なんだか、よくわからんよね。はたから見ていてプロ野球選手のなかでは、選手会で頑張っていた、良い意味で一番政治的だと見えた古田が議員にならないのは、やっぱりそれなりの見識だと思う。
で、東京新聞には元プロバスケットボーラーの政治家で、政治家としても税制に関する著作などものしているアメリカ人の話が出ている。まあ、これは極端だけどさ、でも日本のスポーツ選手も、少しは政治的な発言をしたっていいんじゃないか、って思う。といっても、長島の例(55年体制の長島現役時代、社会党が政権取ったらプロ野球がなくなると言ったんですね。社会党も勿論それを即座に否定したのは言うまでもありません 笑)もあるから、迂闊なことはいえないんだろうけどね。
しかし、日本では元スポーツ選手が政治家になるとだいたい保守系の政治家になる傾向が強いようで、保守とマッチョがつながるか、といわれると、どうなんだろうと思うんだけど、まあ、右翼とマッチョは繋がりそう。ただ、上の東京新聞で紹介されているアメリカ人議員は民主で、まあ、リベラルですね。
で、ヨーロッパの自転車選手と政治のつながりも、有名なのはみんなリベラル、というより左翼ですね。有名なのは、社会主義者だったボッテッキアと共産党員だったルネ・ヴィエットでしょうか。どちらも、かなり古い、古すぎるけどね。
ボッテッキアは1924年と5年にツールを連覇している名選手です。インタビューで労働者の団結と資本家打倒をぶったりしたそうですからね。当時のイタリアはムッソリーニのファシスト党の時代ですからね。イタリア人の心にはあまり響かなかったようですが。

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http://www.oggitreviso.it/bottecchia-nominato-patrimonio-etico-sportivo-72554ただ、この人、1927年に練習中に道端で倒れているのを発見されて、病院へかつぎ込まれるんですが、数日後に死んでしまうんですね。で、いろんな伝説が生まれます。特に有名なのは二つ。一つは30年代(だったと思います)の米国の都市で移民イタリア人が、臨終のときに、俺がファシストの命令でボッテッキアを殺したと懺悔したという話。実際に、ボッテッキアの宿泊先に、あきらかにファシストからと思われる脅迫状が届いたこともあったそうです。
もう一つは、やはり同じく臨終の懺悔で、イタリア人の農夫が、道端で自分の畑のブドウを盗み食いしていたボッテッキアに石を投げつけて殺してしまったと言ったそうで、現在、ボッテッキアの死の真相としてはこちらのほうが有名でしょうか。と思ってウィキペディアを見たら、やっぱりそう書いてありますね 笑)
ただ、これに反論する意見もあります。「ツール100話」でも紹介しましたが、グレーム・ファイフというジャーナリストは、ボッテッキアが死んだ6月のブドウなんて、どんなに喉が渇いても食わないと言ってます。確かにそうですね。まあ、死の直前に言ったことが絶対真実である保証はありませんよね。かえって譫妄(せんもう)状態だったかもしれないしね。
ルネ・ヴィエットは1935年のアントナン・マーニュがツールに総合優勝したときに、自分の優勝のチャンスを棒に振って、パンクしたエースのマーニュに自分の前輪を提供したことで、アシストの鑑と言われている選手です。まあ、ほんとうにこれがなかったらヴィエットが優勝したかどうかについては、これも「ツール100話」や「伝説の峠」に書いたことですけど、かなり眉唾。

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http://la-legende-du-tour.francetvsport.fr/fr/photo/629/le-sacrifice-de-vietto/annee/1934でも、自らのチャンスを投げ捨ててエースのために働くというのが、すでに戦前から美談として伝えられているわけです。このヴィエットも戦後フランス共産党の党員でした。ただ、ナチスから解放された直後のフランスでの共産党の人気はすごかったらしいですし、ピカソや歌手のイヴ・モンタンなんかも共産党員だったそうですから、ヴィエット以外にも党員だった自転車選手はいたかもしれませんが。。。

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