といわれても、余りよく分からない人のほうが多いだろうね。妊娠中にお腹の子供に染色体の異常がないかがわかる検査というわけだ。このところ話題になっているのはそれ以前に比べて精度が格段に上がり、安全性もアップし、負担も少ないというアメリカ由来の新しい診断方法だそうだ。そうはいっても99%だそうだから、100人が受ければ1人ぐらいは外れるわけだ。
今朝の朝日の投書欄にあった方の意見は至極まっとうだった。おおよそこんな話だ。
知らない人にとっては、なにか病気が出生前にわかるなんて良い事じゃない、って思うかもしれない。しかし、この診断によって結果が分かったときに、それでも生むか、中絶するか、これはどちらも正解なんか無いだろう。子供を育てることはいずれにせよ大変なことだし、我が子は愛しくかわいく、そして時々憎たらしい。
この通りだと思う。親の立場からすれば、正解なんかない。しかし、これに正解をつけたがる人達がいるのではないか? この診断の問題は親の問題だけで終わらない。仮に診断の結果、異常があることが分かった、にもかかわらず生むことを決意した親は、分かってて生んだ以上「自己責任」だと言われるのではないか? いや、それどころか、この出生前診断を受けずに障害のある子を授かった場合、それもまた、診断を受けなかった親の「自己責任」だと言われるのではないか? 同時にまた、これは福祉予算を削減するための一環なのではないのか?(これは今の殺伐とした日本の社会を見渡したとき、まず間違いなくそうだと思わざるを得ない)
そして、そういう空気が広まれば、いずれ、この出生前診断は妊婦が必ず受けなければならないようなシステムになる可能性だって出てくるだろう。
ここまでくれば、ナチスのT4作戦(障害者安楽死計画)までもうあと一歩だ。
そんなの考えすぎだよという人もいるかもしれない。でも、当時考えすぎだよと笑われながら、時が経ってみればやっぱりそうなったケースがたくさんあることは、311以後多くの人がいろいろなケースで気づいたと思う。そして、すくなくとも、いまだに「自己責任」を言いつのる政治家が人々の人気を得ているような状況を見る限り、この不安が深まることはあれ、ぬぐい去ることはできない。
うちの次女はダウン症だ。むろん出生前診断など受けていない。生まれてすぐに医者から言われたときには、長女のこともあったし、ものすごくショックだった。しかし、いま12歳になり、あのとき、生まれてすぐにこの子の誕生を素直に喜べなかった自分を、僕は思い出すたびに恥ずかしく思っているし、もし連れ合いが出生前診断を受け、結果を知っていたらどうしたか、仮定の話であっても、恐ろしすぎて考えることはできない。
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