広い階段教室。たしか5時間目だったと思う。終わると暗くなっていたっていう印象があるから。出席を取るわけでもなかったし、学生の数は数えるほどだった。一般教養の音楽だったとおもう。一般教養の授業なんて覚えているのはこの別宮先生の音楽史の授業と、これもすでに亡くなった北森嘉蔵先生のキリスト教概論ぐらいだなぁ。後者は話がむちゃくちゃおもしろかった。
前にも書いたように中学時代からベートーベンやブラームスが好きで、レコードを買いあさっていたけど、さすがに音楽史なんて全く知らない作曲家ばかりだった。ギヨーム・デュファイとかジョスカン・デ・プレとか、あるいはハインリヒ・シュッツの受難曲なんかも別宮先生の授業で初めて聴いた。授業は基本的に最初と最後に少し音楽史的な話と、ときどきえらく難しくて僕には理解できない音楽理論の話が混じって、あいだはだいたいレコードをかけていた。そういうバロック音楽よりも古い、抹香臭い音楽を聴いて楽しかったかと言われると、ほとんどはおもしろいなんて思わなかったと思う。たぶんレコードをBGM代わりにして、他の授業の予習でもしていたか、本でも読んでいたんじゃないだろうか。もっとも、授業で聴いたシュッツのヨハネ受難曲は、それから10年ぐらいして好きな曲の一つになったけど、当時はねぇ。。。ただ、その後、いろいろあって、抹香臭い音楽や抹香臭い美術が大好きになったから、あの音楽史の授業もなんらかの因縁があったと言えるのかもしれない。
別宮先生は、ちょっと小太りな感じで、外見も話し方も穏やかだった。そんな雰囲気も 好きだったんだろうなぁ。ずる休みしやすい時間帯の授業だったはずなのに、あまり休まなかったと思う。今からもう35年も前のことだ。
ご冥福をお祈りします。
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