すでになんども書いてきました。障害者自立支援法がらみの話です。ある意味でこの法律には現在の日本の問題が潜んでいるような気がします。福祉の問題は、その国がどういう方向を向いているのかが端的に表れる問題だと感じています。
自分でも確認したいので、もう一度おさらいです。
2006年に障害者自立支援法という法律が施行されました。障害者の自立を促すという看板を掲げ、障害者が生きていくために必要とする介助をサービスと称し、サービスは買うものと言って一律1割を障害者に負担させるというものでした。障害者の負担が増えただけでなく、関係施設も補助金がいわば歩合制となったため、また国から出ていた補助金が地方へ丸投げされたために生じる地域格差もあり、日本各地から先進国とは思えないような話が伝わってきました。
2008年には全国各地で障害者が同法に対して違憲訴訟を起こし、その後、ご存じのように2009年夏の政権交代のおかげで、2010年1月に違憲訴訟の原告と厚労省のあいだで
障害者自立支援法廃止と、この法律に対する反省を述べた基本合意文書を取り交わし、遅くとも2013年までに新法に移行するとしたのでした。そしてそのために当事者を中心とした「障がい者制度改革推進」のための会議を設置して施策の立案・実施に当たるとしたのでした。
その第1回目の会議で、担当の大臣は
「国連の障害者権利条約と基本合意文書が基礎である」と強調しました。ところが、その後、去年の春過ぎ頃から、自公が提出した自立支援法延命策とも言える「障害者自立支援法改正案」に、民主党が国会対策上の駆け引きの道具として、これを認めようとする動きが現れ、すったもんだした末に、これが年末に一部改正法案として可決されてしまったことは拙ブログでもしつこく書いたとおりです。
この間も、上記の改革推進会議は続けられ、先日、2月14日に第30回目の会議が開かれ、そこで行政側から「障害者基本法改正案」が公表されました。それに対して、いままた、先の
自立支援法違憲訴訟団が声明を出しています。
「2011年2月14日、第30回推進会議において公表された障害者基本法改正案は、私たち訴訟団の期待を大きく裏切り、基本合意に照らしても、
極めて憂慮すべき水準である。」(下線はヴァルデマール)
「基本法改正が障害者の声を反映せず、改革の基本理念を実現できないものであれば、2012年に国会に上程予定の総合福祉法もおよそ障害者の声を実現しない、基本合意に反するものになるのではないかと
強い危惧を覚えざるを得ない。政府は大至急、「改革」の根本理念に立ち返り、推進会議の意見を尊重した障害者基本法改正案に修正すべきである。」(下線はヴァルデマール)
日弁連も宇都宮健児会長名で「閣議決定に沿った障害者基本法の抜本的改正を求める会長声明」を出しています。
こうした流れを見てくると、国は当初認めたことをなし崩し的に無視していこうとしていると考えたくなります。
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