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「当時ドーピングはまったく自然なことだった」

2010.11.09.09:05

ビヤルネ・リース、言わずと知れたインドゥラインの連覇を止めたデンマークの英雄にして、最近ではサクソ・バンクの名監督として名を馳せている御仁ですね。

なにしろこの人、当時から怖い顔していて、ぼくの第一印象はギリシャ悲劇の仮面みたいだったなぁ。

うーん、この記事は迷ったんですよねぇ。。。ドーピングの話って、重すぎるしねぇ。。。。それに国によって温度差がありすぎで、それだけでもかなり不公平なところへもってきて、自転車競技を統括するUCI自体がドーピング撲滅’(そもそもそんなことできるのか?というのは置いておいて)に本気で取り組んでいるのかも怪しいもんだと思えるしね。。。

さて、リース監督、このほど自伝「リース」を出版することになり、それに関連してデンマークの新聞に語ったことだそうです。

「わたしはドーピングに50万から100万クローネ(日本円で750万から1500万)は使った。」

すでにリースは3年前に1993年から1998年までEPO、成長ホルモン、コルチゾンを使っていたことを告白していましたが、今回はすでに80年代からドーピングしていたことを認めました。ドーピングをする以前に、選手たちはみなビタミンやミネラルの注射をしているから、ドーピング注射に移行するのはなんの痛痒も感じなかった。まったくドラマチックなことではなかった。ビタミン注射と変わることはなかったと、現役時代にドーピングにたいしてなんら罪悪感をもたなかったと言ってます。

そして、現役時代には選手ならだれでもドーピングの仕方は知っていたし、実はマスコミだってそれを知っていた、ただ公に報じなかっただけだとのこと。

また、1998年のいわゆるフェスティナ事件の時も、実は危機一髪のところでEPOをトイレにながして捨てたので捕まらずにすんだのだと。「今振り返ればどれも不条理かつグロテスクな話さ。」

ただ、チームとして組織的にやっていたとは言ってません。自分のドーピングのことを知っていたのは当時の妻と現在の妻だけだとのこと。このあたりは他の選手たち(特に係争中のウルリッヒ?)に害が及ばないように注意している様子。

うーん、まあね、昔から選手もマスコミも主催者もみんなドーピングのことは知っていて、観て見ぬふりをしていたけど、ときどき、それを知らないまじめな新人のドクターがマジで検査して、不正を見つけてしまったというまことしやかな話(1978年のポランティエ事件)も伝わっていますがねぇ。

ところで、この時期にリースがこんな大々的にドーピング問題を話題にしているのは、やっぱりコンタドール援護の意味合いがあるのでしょうかね?

わたしの個人的な思い込みですが、当時はともかく、現在はドーピングをしていない選手もたくさんいると思っています。ただ、ときどきチェックに引っかかる選手が出てくるように、やっぱり禁止薬物に手を出している選手もいると思っています。

それからEPO以前とEPO以後ではドーピングの重みも違うように思います。昔の気付け薬(とはいえ覚醒剤)みたいなものではないですからね。身体能力をあきらかに高めてしまうわけですから、ここの不公平さはなんとかしないといけないでしょう。

以前書いたCONIの検事トッリの発言が暗に示していたように、選手たちの健康にとって害にならないドーピングは認めたらどうか、というのも多くの人(特に日本ではその意見が多いかも)が考えることでしょうけど、ただ、そうなると子供たちまで薬を使い始めるでしょうね。それにそもそも健康にとって害にならない薬なんてあるのかどうか。また、こうしたことの必然としてどんどんエスカレートしていくでしょうし、それこそ科学や医学の分野も参入してきそうです。金持ちチームはどんどん新しい薬の開発に励むでしょうから不公平さは今よりさらに大きくなるような気がします。

極端な意見としては、プロなんだから何でもありにして、そのかわりアマチュアは規定を厳格にしたらどうか、なんていうのもありますが、90年前後、いわゆるEPO出現のころですが、かなりたくさんの選手が突然死していますしね。たぶんこんなことをやれば、毎年死人が出るでしょうし、プロ自転車競技に誰も興味を持たなくなるでしょう。そうなればクリーンなアマチュアが注目を浴び、そこでまたドーピング問題が生じることでしょう。

それに以前もUCI批判がらみで書いたことがありますが、ドーピングって選手個人の責任なんでしょうかねぇ。最終的にするかしないかは個人の責任だとしても、そこまで追い込まれていく課程が、個人の責任に帰するのはどうなのかっていう気がしてしょうがないんですよね。

科学や医学の発展とともに、もう後戻りできないところまで来てしまっているんでしょう。どうすればいいのかは、なんとも言えないです。。。


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プロフィール

アンコウ

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あんけ・たつや。欧州ロードレースに興味を持ってすでに30年以上。主にドイツ人選手を応援。特に青田刈りにいそしむ。歳にも関わらず、あらゆる点ですごいミーハー。そのほか好きなものは、読書、音楽はバッハと友川カズキ、北方ルネサンス絵画、映画、阪神タイガース(村山、江夏以来ですが、強すぎないこと希望、弱すぎはもっと困るが)。北欧の社会民主主義に対する憧れ強し。家族構成は連れ合いと娘三人。

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